[なぜ売れてる?]走りとデザインを重視したというC-HR

昨年12月に発売されたトヨタC-HRが1ヶ月で4万8000台を受注するなど、好調な売れ行きを見せています。

パッと見た外見では、「SUVにしては車高が低いしなんだこの車は」と個人的に思った次第でありますので、ちょっとどんな車なのか見てみたいと思います。

4つのキーワード

C-HRに関する記事などから、車の特徴をさくっと掴めるようなキーワードを4つ集めてみました。

旧来のSUVとは異なる、新ジャンルクロスオーバー

近年人気の高い「クロスオーバーSUV」というジャンルですが、クロスオーバーは、よりオンロードに近い、言い換えると都会派SUVという位置付けになります。SUVなんだけども、オフロードの走行はそこまで想定していない。機能としてではなく、ファッションとしてSUVを採用しているものをクロスオーバーSUVと呼ぶようです。

このジャンルが人気な理由について、個人的な意見ですが。
居住性・積載性の高い実用性重視のトールワゴンが人気だけど、格好よさも捨てがたい。かといってスポーツ走行やアウトドアといった明確な趣味がある訳ではないから、完全にそちらのジャンルに振った車は要らない(家族の許可が下りない)し、そもそも趣味に没頭したり何かに熱中する事が格好悪いというイメージがある今の時代。そんな時代に、ジャンルを融合した”クロスオーバー”というのはぴったりなジャンルなんじゃないかなと思っています。

明確な目的を持った乗り方をしている人からすると、どっちつかずの中途半端な車、という印象もありますが、デザインで選ぶのも悪くはないですし、ニーズに合っていればそれでいいと思います。

重視したのは何よりも走りデザイン

鋭い目つきのフロントランプに、ブーメラン型のリアランプ。最近のトヨタフェイス”キーンルック”がC-HRにもしっかりと反映されています。
また、ダイヤモンドをモチーフにした造形を採用しており、上から車を見たとき一般的には四角い形状に見えますが、それを45度回したところの4隅にタイヤが張り出すような、かなり特徴的なデザインになっています。かなり個性的なデザインであるため、ここは好みが分かれるところです。

ただ、そのデザインと引き換えにリアガラスがかなり小さくなっており、後方視界の視認性が悪く、リアビューカメラに頼らざるを得ないというデメリットも生じているようです。

TNGAによる新プラットフォームを採用した低重心パッケージ

次世代プラットフォームとして掲げるトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー=TNGA。空目させることを狙ってるとしか思えない頭文字なのですが(何がとは言いませんが)、部品を共通化することで削減できたコスト・リソースをよりよいクルマづくりへ費やすことで、低重心化、運動性能の向上など、「レスポンス・リニアリティ・コンシステンシー」をより磨き上げたクルマを目指しているそうです。

プラットフォームの改良については、文字情報ではなかなかわかりづらい部分なので、実際に試乗して確かめてみるのがよさそうです。

ハイブリッド車はクラストップレベルの30.2km/Lを実現

同じC-HRのガソリン2WDモデルの燃費が15.4km/lなのに対し、ハイブリッド4WDは30.2km/lという倍の燃費を叩き出しており、
車重があるため、ハイブリッド車という観点ではまあまあの数値ですが、SUVという観点で見るとトップクラスの燃費です。

他メーカー車との比較

コンパクトSUV・クロスオーバオーSUVという観点で、ホンダ ヴェゼルマツダCX-3と比較してみたいと思います。

各車、2WDの基本グレードの数値を比較対象として掲載しました。
C-HRのガソリン車については4WDのみの設定のため、4WDを記載しています。

  トヨタ C-HR ホンダ ヴェゼル マツダ CX-3
 タイプ/グレード・
駆動方式
ハイブリッド
Sグレード
(2WD)

ガソリン
S-Tグレード
(4WD)

1.5L
i-VTEC+i-DCD
HYBRID グレード
(2WD, FF) 

1.5L
i-VTEC
Gグレード
(2WD, FF) 

 XDグレード
(2WD, 6EC-AT)
価格(税込) 264万6000円 251万6400 227万6,000円 192万円  237万6000円
エンジン 2ZR-FXE型
(レギュラーガソリン)
直列4気筒DOHC

8NR-FTS型
(レギュラーガソリン)
直列4気筒DOHC
インタークーラー付きターボ

LEB型
(レギュラーガソリン)
直列4気筒DOHC
L15B
(レギュラーガソリン)
直列4気筒DOHC
S5-DPTS型 
SKYACTIV-D 1.5
(ディーゼル)
直列4気筒DOHC
直噴ターボ
総排気量[cc] 1,797(1.8L) 1,196(1.2L) 1,496(1.5L)  1,498(1.5L)
全長×全幅×全高[mm] 4,360×1,795×1,550 4,360×1,795×1,560 4,295×1,770×1,605  4,275×1,765×1,550
最低地上高[mm] 140 155 185  160
室内寸法
長さ×幅×高さ[mm]
1,800×1,455×1,210 1,930×1,485×1,265  1,810×1,435×1,210
荷室容量 318L 393L 350L
乗車定員 5 5  5
ホイールベース[mm] 2,640 2,610  2,570
トレッド(前/後)[mm] 1,550/1,550 1,535/1,540  1,525/1,520
最小回転半径[m] 5.2 5.3  5.3
車両重量[kg] 1,440 1,470 1,270 1,180  1,270
サスペンション(前/後) マクファーソンストラット式/
ダブルウィッシュボーン式
マクファーソンストラット式/
トーションビーム式
 マクファーソンストラット式/
トーションビーム式
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/
ディスク
ベンチレーテッドディスク/ ディスク  ベンチレーテッドディスク/
ディスク

最高出力
[kw(PS)/rpm]

72(98)/5,200 85(116)
/5,200〜5,600
97(132)/6,600 96(131)/6,600  77(105)/4,000
最大トルク
[N・m(kgf/m)/rpm]
142(14.5)/3,600 185(18.9)
/1,500〜4,000
156(15.9)/4,600 155(15.8)/4,600  270(27.5)/1,600-2,500
圧縮比 13.0 10.0 11.5  14.8
燃費[km/l] 30.2 15.4 23.2 19.0 21.0 
最高出力(モーター)
kw(PS)/rpm
53(72) –   22(29.5)
/1,313-2,000
— 
最大トルク(モーター)
N・m(kgf/m)/rpm
163(16.6) –   0 160(16.3)
/0-1,313
– 
システム最高出力
[kw(PS)]
90kw[122PS]   112kW[152PS]

価格・エンジン・車重

ベースグレード同士での比較では、ホンダのヴェゼルが一番価格が抑えられています。
ヴェゼルの1.5Lガソリンモデルと1.2LターボのC-HR、出力値で見れば、ターボによって幅広い回転域で最大トルクがC-HRのほうがやや勝っていると思われます。1,500rpmから最大トルクが出ますので、街乗りもしやすいと思います。

ただ、C-HRのほうが車重が290kg(ヴェゼルの4WDモデル1,270kgと比較しても200kg)も重いという点がかなりネックなのと、この性能差で約60万(ヴェゼルの4WDモデル213万6,000円と比較しても38万)の差があることを考えると、C-HRは少々割高感が否めません。

一方、ハイブリッド車同市で比較しますと、1.8LのC-HRハイブリッドよりも1.5Lのヴェゼルのほうがエンジン性能は高く、C-HRのほうがより力強いモーターを搭載しています。ハイブリッドの方式がメーカで異なるため、エンジン・モーター単体の性能での比較は難しいのですが、システム最高出力としてはC-HRが高くなっています。

なお、システム最高出力というのは、ハイブリッド車におけるエンジンとモーターが動力性能として発揮できる出力のことです。単純な合算値などで算出されるものではないようです。それぞれメーカ公式ページに掲載されている数値(参考:トヨタ/ホンダ)ですが、諸元表には掲載されておりません。統一された算出基準がないなど何かしら理由があるのでしょうか。

ハイブリッド方式については、ざっくりした説明ですとどちらも加速発進時はモーターのみもしくはハイブリッド走行(モーター/エンジン両方の駆動を用いる)を行い、通常走行以上では主にエンジンをメインとした駆動で走行しますが、ホンダのi-DCDはモーターを切り離し完全にエンジンのみで走行できるのに対し、C-HRではモーターを完全に切り離せないという違いがあります。

足回り

トヨタといえば多少値の張る車でもリアにはコストを抑えたトーションビームを採用しているメーカというイメージでしたが、ここ数年で、ヴェルファイアやアルファード、プリウスなどでもダブルウィッシュボーンを採用するようになっているようです。そこは素直に評価したい点です。

最低地上高

SUVラインナップではおおむね低くても165mm以上は確保している車種が多い中、C-HRの140mm(ハイブリッド2WD)/155mm(ガソリン4WD)は特に低いです。ちなみに、DJデミオで145mmです。機能性としてのSUV色は薄くし、低重心による安定性をとった結果なのでしょうか。

車高いじりを考えたときに、上げるべきか下げるべきかかなり迷う地上高設定ですね。
車高をがっつり下げてしまえばFitシャトルやプリウスαといったステーションワゴンのちょっとゴツい版、反対に上げればSUV色が強まるイメージになると思います。

車高

広く普及している立体駐車場では、入庫できる車高が1,550mmのものが多いため、上記ラインナップで見た場合には、ヴェゼルやC-HRのガソリンモデルがそれを超えているため、注意が必要です。

燃費

先述の通り、燃費についてはSUV車の中で比較する限り、C-HRのハイブリッドがダントツでトップです。

実燃費がどれほどのものかは気になるところですが、ランニングコストをガソリン4WDグレードと比較すると、およそ3年ほど(年間の走行距離が1万km/ガソリン代が150円/Lとした場合)で車両本体の価格差13万を回収することができますので、コストパフォーマンスを考えてハイブリッドを選択するのはありだと思います。

まとめ

「何よりも走りとデザインを重視した」というC-HRですが、走りにおいては数値で見る限りはさほど秀でている部分があるというようには見えませんでした。何よりも、車重が類似車種と比較してもかなり重たい点が気になります。ハイブリッドモデルについてはモーターも搭載しているので多少の重量増は致し方ないのですが、ガソリンモデルでは4WDになっている点を補ってもちょっと重たいです。

諸元表の数値から見る限りは、この3車の中だとホンダのヴェゼルがコストパフォーマンスが良いように思います。

ただ、新プラットフォームTNGAによる低重心性やエンジンのレスポンス向上といった様々な改良点については諸元表などの数値では全く触れられていませんので、気になる方は実際に試乗して確かめるのが一番良いと思います。

デザインについては確かに個性的な人目をひくルックスですが、それと引き換えに後方が見にくいことやラゲッジスペースがやや小さくなっている事もありますので、デザインが好みな方はそのあたりを理解して購入されると良いと思います。

というわけで、C-HRの売れ行きが好調な理由は、SUV人気もありつつ、程々の値段で人とは違うちょっと変わったクルマが欲しいというユーザに売れているからなのかな?というのが私の推察になります。

コメント

  1. 15MB乗り より:

    良い意味でトヨタらしくないデザインですね、保守的なデザインを出しているメーカーイメージでしたので。‌
    実車を見てみたくなりました。‌
    後ろのドアノブが隠れていて一見2ドアに見えるのも良いですね。‌

    性能面では1.2Lターボの4WDグレードの車重をもう少し抑えて、マニュアルの設定でもあれば、かなり興味を惹かれるところでした!‌

    TNGAという略称には以前から僕も違和感を持ってました(何がとは言いませんが)‌
    トヨタ社内でもこの略称についての議論は起きなかったのだろうか・・・‌

    #アバター登録してみました

    1. おしん@ボサ子 より:

      コメントありがとうございます!
      そうですね、チャレンジングなデザインですよね。2ドアぽく見えるのはいけてますね!ただ、個人的にはあまりデザインが好みではないかもです…

      車重があるのもMTが無いのも寂しいですね。
      もし買うとすれば、海外向けにしか出していない2.0Lガソリンモデルを狙いたいところです。

      a.みんな真面目に議論していて、指摘したら非難の的になりそうで誰も言い出せなかった
      b.話題になることで宣伝効果はバツグンに上がるので分かって出している
      c.むしろ某社と相乗して宣伝効果になるということで2社間で既にネゴ済み
      たぶんこのどれかだと思います…(何がとは言いませんが)

      アバター設定ありがとうございます!コメント欄にデミオを増やしましょうヽ(・ω・。ヽ)

  2. ダブルアールブルー より:

    既に4万台も売れているのですが個人的には理解できないです。ただラグジュアリーな要素が沢山盛り込まれていて燃費も良く見た目も良い。‌

    TNGA技術の一つ新しいプラットフォームはローポジションで86に近いドライブポジションと言うスポーツカーの要素も持っている事が人気なのですかね?‌

    でも車重と価格の事を考えるとちょっと買いにくいです。

    1. おしん@ボサ子 より:

      売れている要因は内装・見た目と、あとは一定人口はいるトヨタブランドへ絶大な信頼感を寄せているユーザさん達のおかげかと思います。

      たしかに、TNGAが採用されているプリウス・アクアなどの他車も、86と同様に低いドライブポジションになっているというのは凄いのですが
      スポーツ走行的な走りを楽しむにはちょっと選択しづらい車ですね。

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